東大教授が教える知的に考える練習 柳川範之 書評
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皆さんはこのようなことを考えたことはありませんか?
・自分の考えに軸がなく、いつも選択を他人任せにしてしまうのを直したい。
・考える力を身に着けて、ビジネスや卒論に生かしたい。
・考えるということは具体的にどういうことなのかが知りたい。
このような考えを持っている人にとって本書はとても役に立つこと間違いなしだと思います。
著者の略歴
【柳川 範之】
1963年生まれ。東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。中学卒業後、父親の海外転勤にともないブラジルへ。ブラジルでは高校に行かずに独学生活を送る。大検を受け慶応義塾大学経済学部通信教育課程へ入学。大学時代はシンガポールで通信教育を受けながら独学生活を続ける。大学を卒業後、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。現在は契約理論や金融関連の研究を行うかたわら、自身の体験をもとに、おもに若い人たちに向けて学問の面白さを伝えている。著書に『法と企業行動の経済分析』(第50回日経・経済図書文化賞受賞、日本経済新聞社)、『契約と組織の経済学』(東洋経済新報社)、『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)など。
・なぜ考える力が今、必要なのか?
現代では、日々多くの情報が生み出されており情報が溢れかえっており、私たちは常に情報にさらされています。
また、インターネットで知りたいことを検索すれば、すぐにお目当ての情報を入手することができ、昔に比べて考えるということをしなくなりました。
そして時代的にみると、現代は新たな価値観や社会が誕生しようとしており、日々変化が起きそれに対応するだけの力が必要になってきています。
その時に重要なのが「考える力」です。
明治維新や終戦直後のように社会や価値観が変化していた時代に成功した人というのは、人とは違う発想で新しいチャンスを作り出してきた人たちなのです。
現代でもそれは同じだと考えます。
これからはAIが発達してきて、既存の仕事がどんどんAIにとって代わるといわれています。
すると私たちはAIにできないことを身に着けることによって、その時代を生き抜いていかなければならないのです。
このAIにできないことというのは、「考える力」なのです。
・考える土台を作ろう
考えると聞くと、まずは情報に触れてそこから色々考えるということを想像するかもしれませんが、本書ではその前に考える土台を作ることが重要だと述べています。
そして本書では、考える土台を調理器具に例えています。
いくら高級でおいしい食材が目の前にあっても調理器具が無ければおいしい料理を作ることができません。
情報もこれと同じでただ情報に触れただけでは意味がないのです。
情報を加工するための調理器具が必要なのです。
では具体的に考える土台とはどういうものかというと、物事を抽象化することです。
抽象化とは、例えば、「コンビニでマリトッツォを夕方5時から半額で販売すると売り上げが伸びた」とします。
するとこの事象を抽象化すれば「お店で人気の商品を仕事終わりの人が来やすい夕方に値下げをすると売り上げが伸びる」ということになります。
要するに、ある具体的なものを広く一般化してして他の分野でも生かせるようにすることを抽象化といいます。
この抽象化を行うために、本書では次の3つのステップを解説しています。
➀幹をつかむ
➁共通点を探す
③相違点を探す
この章を読んで、物事を考えるための土台である抽象化する力が何なのか具体的に理解できました。
・感想
僕が本書を手に取った理由は、僕は人の話を聞いたり本を読んだりしてもなかなか頭に情報が残らず理解ができないということが多々あり、それを解決するための糸口にならないかと思ったからです。
本書では、自分にとって必要な情報と必要でない情報を取捨選択して、自分にとって必要な情報だけを吟味し、抽象化し、それを他の情報と結び付けて自分の知性に変えていくということが具体的に書かれていました。
具体例もわかりやすくて、面白かったです。
また、僕が大学生の時、この本を読んでいれば卒論をもっと意味あるものにできたのではないかと思いました。
勉強をしている人にはおすすめの一冊です。
気になる方は、是非読んでみてください。
以上です。